終い弘法の東寺へ|一年の締めくくりに“お砂踏み”体験
毎月21日に東寺で開かれる「弘法市(弘法さん)」。その中でも12月の「終い弘法(しまいこうぼう)」は、一年を締めくくる大縁日として特に多くの参拝者で賑わいます。
この日も例に漏れず、境内は大混雑。弘法大師像の正面には長蛇の列ができていましたので、今回は後方から静かに手を合わせました。

四国八十八ヶ所の霊場を体験|「お砂踏み」とは
そして今回、以前から気になっていた「お砂踏み」を初めて体験してきました。
これは、食堂(じきどう)の回廊に掲げられた四国八十八ヶ所の本尊掛け軸の前で、実際に各札所のお砂を踏みながら祈るというもの。四国を巡拝したのと同じ御利益があるとされています。

お砂踏みの入口では、落ち着いた照明と厳かな雰囲気が漂い、気持ちが引き締まります。
志納金500円と納め札100円の計600円を支払い、いざ参拝へ。初めての旨を伝えると、係の方が丁寧に回り方を教えてくださいました。
まず最初に弘法大師さまの掛け軸にお賽銭を納め、「南無大師遍照金剛(ナムダイシヘンジョウコンゴウ)」と7回声に出して唱えます。その後は心の中で唱えながら、各札所を巡ります。
願いごとは「家族の健康・安全」など、素直な気持ちで祈れば良いとのこと。お金のことでも下世話なことでも大丈夫だと言われましたが、ここはベタに家族への思いを込めて一巡。

入口で受け取るスタンプ帳と納め札。自分の名前と日付を書き、左手に灰をつけて穢れを払います。

一番最初にお参りするのが弘法大師さまの掛け軸。ここでは必ず声に出して七回唱えます。

各札所の前にある箱へ、納め札を一枚ずつ納めていきます。88箇所分すべて納めると、思った以上に達成感があります。
終い弘法の混雑と、お砂踏みの静寂
終い弘法の日の東寺は、出店も多くどこも人でいっぱいですが、お砂踏みの空間だけは静けさに包まれ、どこか別世界のように感じます。

人が多い東寺の中でも、この空間だけは落ち着いてお参りができます。照明も穏やかで、自然と背筋が伸びます。

本尊の掛け軸がずらりと並び、それぞれの札所を思い浮かべながらお参りできる貴重な空間です。

順路に沿って静かに歩を進めることで、自分と向き合えるような時間が流れていきます。

途中でふと目をやると、五重塔が見える瞬間も。静寂の中に映える東寺らしい景色です。

天気も良く、空の青と塔のコントラストが美しく印象に残りました。

台湾からの参拝者の献灯もあり、国や宗派を超えた信仰の広がりを感じました。

最後は高野山・奥の院の掛け軸。多くの方が、使いきれなかったお札をそっと置いて帰られていました。
最後に少しだけ…グルメの話も
帰りは名物を買って帰ろうかと北門へ向かいましたが、当時は鳥政の手羽先が人気で長い行列ができていました。
(※鳥政さんは現在は閉店されています。ご縁があった方には懐かしい味ですね。)

西門の巴屋のおはぎも行列で断念しました。来年は並ぶ覚悟で挑みたいところです。

おわりに|心整う年末参拝
初めて体験した東寺の「お砂踏み」。年末の喧騒の中にあって、心静かに自分と向き合える貴重な時間でした。
混雑していて御朱印はいただけませんでしたが、それもまた次回の楽しみとして。
一年の締めくくりに、また来年もお参りしたいと思います。
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